表面粗さ測定機と粗さパラメータ

表面粗さ測定機のスペック紹介と、表面性状パラメータの中から粗さパラメータについて概要を解説。

(H21年度新規導入機器の紹介)

表面粗さ測定機

メーカ (株)ミツトヨ
型式 CS-H5000CNC
仕様

【標準触針使用時】

  • Z軸測定範囲    ±6mm
  • Z軸分解能    1nm

【2倍長触針使用時】

  • Z軸測定範囲    ±12mm
  • Z軸分解能    2nm

【共通仕様】

  • X軸測定範囲    200mm
  • X軸分解能    6.25nm
  • Y軸テーブル    200mm
  • Y軸分解能    50nm
  • 自動レべリング、自動頂点出し、JIS2001対応、
    記録媒体対応(紙・CD等)、非球面解析、CNC機能

本装置(図1)は、機械部品や製品の表面形状を測定し、断面曲線、粗さ曲線およびうねり曲線等の輪郭曲線や各種表面性状パラメータの解析を行いま す。今

回導 入の新機は、平成7年導入の旧機からの更新で、性能が大きく向上するとともに、課題となっていた2001年度以降のJIS規格に対応しました。

新機は、X、Y、Z3軸のCNC駆動軸および自動水平出しテーブル、水平回転テーブルを有し、測定物の心出しや、測定箇所の精密な位置出しが容易です。

ま た、粗さ測定において重要となる高さ方向(Z軸)分解能が旧機の10倍の1nmとなり、光学部品の鏡面測定等の精密測定が可能です。またこうした 精密測

定時には室内のエアコンの風ですら測定値に変化を及ぼすため、その影響を防ぐ防風扉を備えています。奥行方向(Y軸)の分解能も20倍の50nmと なり、Y軸方向の粗さ測定も可能になりました。

新機では、制御ソフトウェアの操作性や機能も大幅に向上し、解析データの詳細な3D表示(図2)により表面性状を視覚的にとらえることが可能になりました。

粗さパラメータについて

表面性状パラーメータ

材料加工表面の凹凸・筋目は、「面の肌(surface texture)」と呼ばれていましたが、JISの改正(表1)により表面の微細な幾何学的特性を表す用語として、以下のようなパラーメタに定義されました。

表面性状パラメータ   断面曲線パラメータ
粗さパラメータ
うねりパラメータ

以降では、表面性状パラメータの中から粗さパラメータについて概要を解説します。

粗さ曲線

表面粗さ測定機では被測定物の表面を触針でなぞることで「断面曲線」を得ます。この「断面曲線」を凹凸の大きさ(波長)で分離し、小さな凹凸を「粗さ曲線」、大きな凹凸は「うねり曲線」とします。(図3)。

粗さパラメータ

粗さパラメータは、この「粗さ曲線」から得られるパラメータの総称です。得られるパラメータには様々な種類がありますが、代表的なものは以下の二つのパラメータです。

(1)Ra(算術平均粗さ)

粗さ曲線とその平均値の直線で囲まれる面積を長方形に平滑化した際の高さで、平均化された安定した値となるため、全体的な面の評価に使用します。

(2)Rz(最大高さ粗さ)

粗さ曲線の最大値と最小値の差で、局所的な山や谷があると大きくなるため、部分的なキズ等のチェックに使用されます。
これら以外にも、平均値に対して山と谷のどちらが多いかが分かるRsk(スキューネス)や、平均値付近への集中度が分かるRku(クルトシス)などのパラメータがあります。

粗さ曲線の事例

図4の粗さ曲線AとBを事例として考えます。この二つの曲線は水平軸に対して対称形になっており、摩擦力や摩耗性などの特性には大きな違いのある面だと考えられます。
しかし、この二つの面では、先ほど説明した代表的な粗さパラメータであるRaとRzについては、まったく同じ値になります。この二つの面で差が出るパラメータはRskであり、AとBでは±が正反対の値になります。

この例は特殊な事例ですが、表面性状の違いによって比較に最適なパラメータに違いがあることが分かると思います。

(機械電子担当 井上)