材料の強度を測る

私たちの身の回りの機械や建築構造物が破壊せず、安全に機能するためには、各部品にどのような力が加わるのかを知るとともに、適切な部品の材質や形状を決めなければなりません。そのための方法として、材料力学があります。材料力学で扱う材料の特性には、静的強度、疲労強度、衝撃強度などがあります。

静的強度

最も基本的な静的強度の評価法に引張試験があります。金属材料の引張試験は JISZ2201およびZ224に規定されます。この方法では、試験片を引張り、応力−ひずみ曲線を求めます。応力とは、引張荷重を試験片の断面積で割っ た値であり、ひずみとは、伸びの割合(%)です。図1に、応力−ひずみ曲線の例を示します。図中P点は、応力とひずみの比例関係、すなわちフックの法則が 成り立つ範囲の限界であり、比例限度といいます。E点は材料に永久変形を生じない限界、すなわち弾性限度といいます。焼きなましをおこなった軟鋼などで は、(a) のように弾性限度の付近で応力が増加せず、ひずみだけが増加する点が表れる場合があります。これを降伏といい、工業的にはその直前の最大応力点である上降 伏点を弾性限度として扱います。また非鉄金属のように降伏を示さない材料の場合には、 通常0.2%の永久ひずみに対する応力をもって降伏応力と見なし、これを耐力といいます。

当センターの、万能材料試験機(500kN)あるいは万能材料試験機(50kN)を 用いることにより、各種材料の引張試験を行うことができます。また、これらの試験機では、引張の他に圧縮および曲げ試験も可能です。さらに、適切な治具を 用いることにより、実際の部品の実物強度試験を行うことができます。このほかに、試験片の一端にねじりモーメントを加えるねじり試験機があります。

疲労強度

材 料は繰り返し応力のもとでは、静的強度よりかなり低い応力によっても破壊を起こします。このような現象を、材料の疲労といいます。無限回の繰り返し応力を 加えても材料が破壊しない応力範囲を材料の疲労限度といい、 通常は1千万回あるいは1億回の繰り返し応力に耐える強度を持って疲労限度とします。多くの材料の疲労限度は、引張強さ、降伏点、硬さなどと相関がありま す。一方、伸び、絞り、衝撃値とはあまり相関がありません。

当センターの疲労試験機を用いれば、引張および圧縮に関する疲労強度を求めることができます。また、治具を工夫することにより、曲げやモーメントに関する疲労試験を行うことができます。

衝撃強度

物 体が衝突する場合のように負荷速度が大きい荷重を衝撃荷重といい、このような荷重に対する材料の強度を衝撃強度といいます。衝撃強度の評価方法には応力に よるものとエネルギーによるものがありますが、衝撃エネルギーを求める方法が工業的には広く用いられています。代表的な衝撃試験に、JISZ2242に規 定されたシャルピー衝撃試験があります。この試験においては、切り欠きのはいった角柱形状の試験片に衝撃荷重を加えて 破壊し、破壊に要したエネルギー(吸収エネルギー)および、吸収エネルギーを元の断面積で除した衝撃値を求めます。衝撃値が小さい試験片では、塑性変形が 小さくぜい性破面となり、衝撃値が大きい場合は塑性変形が大きく延性破面となります。そのため、衝撃値の大きさにより材料のぜい性破壊のし易さを知ること ができます。

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