平成9年(1997年)までの研究成果をまとめてご紹介します。

機能性フィルムシートなどには薄い膜が多層に重ね合わせたものが用いられています。この製品検査や製造ラインのコントロールを行うには、破壊せずに瞬時に各層の厚みが測定できる装置が必要となります。
県内企業の上記装置開発に際し、光が持つ性質をこの分野に利用するための基礎的な実験やデータ取りに関する技術指導などを行いました。その後実用化研究を経て多層膜測定装置(写真)が開発されました。

メカニカルシールは、回転機の液体密封に用いられます。高圧用メカニカルシールでは、回転機停止時の圧力変形や運転時の熱応力変形の影響を最小限に抑え、シール部からの液体の漏れを制限する必要があります。
そこで、有限要素法解析によるコンピュータシミュレーションを適用した結果、変形による漏れが発生しにくい 形状や材質が効率的に把握できました。試作・試験・修正の繰り返しから解放され、開発期間短縮と開発コストの削減の効果だけでなく、製品への技術的信頼性 が向上しました。

信楽で製造される陶器製品の大部分は、液化石油ガスを燃料とする自然吸気式のシャットル窯によって焼成が行なわれています。同焼成炉は、作業効率が 良く設備コストも安く抑えられるなど多くの利点を備える反面、自然吸気式であるがゆえに炉内の燃焼特性が複雑に変化し、炉の操作が難しいという欠点があり ます。
そこで、立命館大学と共同で、ファジィ制御技術の応用により、熟練者の経験と勘に基づいた焼成に関するノウハウを制御システムに導入し、既設の焼成炉を利用した自動焼成システムの開発を行いました。

龍谷大学理工学部と滋賀大学教育学部との共同研究で、窒素とリンを同時に吸着する多孔質材料を開発しました。
この材料は、どのような形にも成形できます。また、再生利用ができるという特徴を持っているため、種々の水質浄化用の装置に応用が可能になりました。

ガラスと陶器とはその性質の違いから同時焼成した時、クラックの発生・ガラスの流出等の問題点があり融合製品の製作が困難でした。陶器とガラスの境界面に 耐火物の薄膜をつくることでこれを解決しました。この技術を応用して、陶器にあけた穴を色ガラスで埋め、鮮明な境界を持つガラス融合陶板を焼成しました。 これを用いてガラスの透光性を生かした屋外用照明器具(照明スツール)を試作、信楽窯業技術試験場に設置展示し耐候性を確認しています。

陶器素地の原料に中空の樹脂粉末を混ぜ、成形後、窯で樹脂粉末を消失させることによって、細かい穴がたくさん空いている非常に軽い陶器を作る技術を開発しました。
中空樹脂粉末の添加率を増やすと、かさ比重が1以下の、水に沈めても浮き上がる超軽量陶器を作ることができ ます。 また、この素地の気孔の特性を活かすと、バイオリアクターや触媒の担体、濾過材、保水・保湿剤、耐火断熱材、防音材、結露防止建材、ノコギリで切 断することができる建材などに使うことが可能です。
軽量陶器は業者により生産・市販されています。