2. 技術相談支援

令和7年度実績の概要は、次のとおりです。

事業名

実施件数等

栗東

信楽

合計

職員による技術相談

5,029件

1,214件

6,243件

リサーチサポート制度の利用

1件

4件

5件

モノづくり技術人材育成事業

16コース

2コース

18コース

(1) リサーチサポート制度の利用

県内企業や当センター等の実施する技術開発や研究会事業に大学等の専門家をリサーチサポーターとして招聘し、適切な指導助言を得て課題解決を図ることで技術開発や研究会事業等を円滑にすすめる事業です。

[栗東]件数:1件

月日

分野

内容

R7.8.6

知財

子ども発明教室について

[信楽]件数:4件

月日

分野

内容

R7.5.27

デザイン 信楽における窯業・陶芸・美術の関係性について
R7.11.21 デザイン 細密赤絵付けの技術について
R8.1.27 デザイン 「未来世代への陶製品開発研究」での滋賀こども等関連イラストの試作利用について
R8.2.26 デザイン 「地場産品を活かした体験型製品の開発」にかかる大津絵試作指導

(2) モノづくり技術力向上のための「技術研修」事業(講習・実習)

件数:18コース、参加者:170名

庁舎

講習会名称

年月日

内容

参加者

栗東

講習【カールフィッシャー水分測定の基礎とテクニック】

実習【水分測定装置(カールフィッシャー法)】

R7.9.9

カールフィッシャー法による水分測定技術に関する講習と実習

14名
14名

講習【SEM-EDXの基礎・原理】
実習【分析走査電子顕微鏡】

R7.9.25 電子顕微鏡を用いた観察・分析技術に関する講習と実習

17名
8名

講習【EMI 測定技術講習会】
実習【3m法電波暗室、エミッション(EMI)測定システム】

R7.9.26 EMI測定技術に関する講習と実習

4名
4名

講習【理化学用ガラス機具の正しい知識と取り扱い】

R7.11.19 理化学用ガラス機具に関する講習

20名

講習【3DスキャナとDIC測定の基礎】
実習【3Dスキャナ】

R7.12.8

3Dスキャナを用いたDIC測定技術に関する講習と実習

11名
11名

講習【金属組織観察・断面観察のための試料作製】
実習【試料調整機器】

R7.12.10

金属組織・断面観察のための試料作製技術に関する講習と実習

11名
5名

講習【精密測定技術の基礎】

R8.1.29

三次元測定機を用いた精密測定技術に関する講習

14名

実習【ヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析装置の基礎と活用】①※講習同時開催

実習【ヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析装置の基礎と活用】②※講習同時開催

R8.2.5

ガスクロマトグラフ質量分析技術に関する講習と実習

4名
3名

講習【振動試験における取付治具作製のポイント】

実習【大変位振動衝撃試験機】

R8.2.13 振動試験に関する講習と実習 8名
8名

栗東小計

16コース

156名

信楽

講習【エネルギー分散型蛍光X線分析装置 (EDX)の基礎と活用例】
実習【エネルギー分散型蛍光X線分析装置】

R7.11.27

蛍光X線分析技術に関する講習と実習

7名
7名

信楽小計

2コース

14名

合計

18コース

170名

(3)技術移転

件数:38件

 以下の条件を満たす技術相談支援を技術移転の件数としています。

  1. 技術相談や設備使用のため、新たな調査、試験、実験、試作のいずれかを行っていること。
  2. 企業の技術力向上に対する貢献度が、研究推進指針でいう研究成果の技術移転と同等と考えられること。
  3. 企業から「技術移転申請書(調査・試験)」(案)の提出があること。

(4)主な技術相談事例

使用環境下で発生する振動を想定した試験に用いる治具に関する相談

分野
電子
課題
使用環境下で発生する振動を想定した試験に用いる治具に関する相談。
対応
製品の使用環境を想定し、特定周波数範囲のランダム振動や掃引振動に対する耐性を評価する試験では、製品を加振器へ固定する「治具」の設計が極めて重要です。治具の選定や設計が不適切であると、加振器からの振動が製品へ正確に伝達されず、正しい評価が行えません。本相談では、試験を行う周波数範囲内に治具の「第一固有振動数」が含まれないよう設計する必要性を提示しました。これを達成するための具体的な共振対策として、治具の剛性を高めるためのリブの追加や、材質をアルミニウムに変更することによる軽量化などの対処手法を提案し、適正な振動試験の実施をサポートしました。

規格試験(IEC61000-4-4)の相談

分野
電子
課題
規格試験(IEC61000-4-4)の相談。
対応
規格試験であるIEC61000-4-4はファストトランジェント/バースト試験と呼ばれ、試験対象機器の配置や、使用するケーブルの長さなどが定められています。この試験を初めて行う方や、初めて行う製品の場合には、試験対象機器や補助機器の配置などを規格で記載されているとおりに行わないことがあり、試験結果の再現性などに影響が出る場合があります。今回の相談においても、電源ラインから直接ノイズを印加する試験対象機器と補助機器の配置が定まっていなかったため、試験装置から試験対象機器までを50cm、試験対象機器から補助機器までを50cm以上の距離をとるよう助言し、今後も再現性良く試験が行えるようにサポートを行いました。

サンプルの微小なへこみを測定したい

分野
機械・計測
課題
サンプルの微小なへこみを測定したい。
対応
表面の微小な凹凸を評価する方法として表面粗さ測定があり、当初それを用いた測定を検討されていました。表面粗さ測定でよく用いられるRa、Rzなど粗さパラメータを計算する粗さ曲線は、測定した表面の凹凸に対して低周波成分および高周波成分をカットするフィルタを通すことでノイズやうねりを除去しています。そのため、実際の測定対象のへこみとは異なっており、今回の評価に用いるのは適していません。そこで、代わりにうねりなどの除去を行わず微小な形状を測定できる輪郭形状測定を用いた評価を提案しました。

金属3Dプリンタにおける造形パスの自動作成について

分野
機械・計測
課題
金属3Dプリンタにおける造形パスの自動作成について。
対応
センター既設の粉末DED方式金属3Dプリンタでは、目的の形状を造形するためにNCプログラムの作成が必要不可欠です。さらに、複雑な形状の造形を行う場合は、CAMによりプログラム作成を行います。また、CAMで使用する3Dモデルの作成指導として、積層したい目的形状と、非積層物である基材を別のソリッドとするなど、基本的なことから指導を行い、作成したパスを用いて造形テストを行うことを提案しました。

製品部材からのシロキサン発生について評価したい

分野
有機材料
課題
表面にシリコーン系化合物を塗工している部品について、使用中に不具合が発生し、塗工材由来のシロキサンが原因と考えている。正常品と異常品のシロキサン量の比較を行いたい。
対応
ガスクロマトグラフ質量分析法により測定できることを紹介し、当センターの装置にて熱脱着法による評価を行いました。シリコーンから検出される環状シロキサンについては、正常品および異常品ともにほとんど検出されなかったことから、シロキサンが不具合の原因でないと推測しました。ほかに樹脂の添加剤と考えらえる化合物が検出され、異常品でその量が顕著に多い結果でした。樹脂に接触する工程があるとのことで、接触時間について伺ったところ、正常品に比べて異常品は接触時間が長いとのことで、このとき樹脂から成分が移行した可能性を考え、接触時間の短縮化または樹脂材料の見直しについて助言を行いました。

金属材料表面の油分除去について

分野
有機材料
課題
金属表面に防錆加工のためにアクリルコート層を塗工するが、金属表面に加工油の残留があると、コート層の剥離が生じる。現在は、塗工前にアルコール浴で洗浄処理を行っている。しかし、アルコール中の油分濃度が徐々に上昇し、洗浄効果が薄れるどころか余計に金属表面に油分を塗り付けることになってしまうことがあり、工程の見直し含めアドバイスいただきたい。
対応

油剤成分を特定するために、赤外分光光度計による測定を行い、おおまかな油剤の構造を特定、代替の溶剤を等提案しました。しかし、コストアップになるため、さらに簡易な方法を検討したところ、金属表面に高圧で水を噴射すると概ね油分が除去されることが分かり、この方法で実施することになりました。しかし、水の乾燥に時間を要するため、生産性向上を考え表面の水をアルコールに置換する洗浄を行い、乾燥することを提案し検討いただくこととしました。
洗浄後の処理水には油分を含むため適切な処理すること、および、アルコールの乾燥時の作業者安全性の確保について考慮することについてもあわせて助言しました。

ゴム中の無機フィラーの分散性の評価

分野
無機材料
課題
無機フィラーを分散させたゴムの材料開発を行っている。添加剤の種類によって強度などの特性に違いは出てくるが無機フィラーの分散状態は不明なため、可視的に分散性の評価をしたい。
対応

電子顕微鏡を用いた元素マッピングや反射電子像のコントラスト(重たい元素ほど明るく見える)の違いにより、無機フィラーの分散性を可視的に評価できるか確認しました。分析走査電子顕微鏡(SEM)を用いて元素マッピングを行ったところ、無機フィラーの添加量が多いため無機フィラーに由来する元素が全体に検出されたため、分散状態の確認は困難でした。電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて高倍率(1万倍以上)の反射電子像の観察を行ったところ、コントラスト差による無機フィラーが部分的に凝集状態(一次粒子のまま)していることを確認することができました。

金属薄膜表面の化学状態評価

分野
無機材料
課題
金属薄膜を堆積させることで新たな表面処理技術の開発を行っている。成膜・プロセス条件の違いが、最表面の化学状態に与える影響を把握したい。
対応
金属薄膜の最表面は主に酸化物の状態で存在していますが、その酸化の度合い(価数)や金属成分の存在状況は、膜全体の特性を大きく左右します。そのため、表面の化学状態を正確に把握することは、優れた機能性薄膜を開発する上で重要となります。今回、材料表面の元素組成や化学状態を詳細に分析できるX線光電子分光法(XPS)を用いてチタン薄膜の評価を行いました。その結果、通常条件で成膜したチタン薄膜の表面は酸化チタンのみで構成されていたのに対し、異なるプロセスで作成した膜の表面には、主成分である酸化チタンに加えてチタン金属成分が一部混在していることが判明しました。この結果から、成膜やプロセスの条件を調整することで、最表面の化学状態を制御できる可能性があることがわかりました。

コーヒーの味が変化する評価方法について

分野
食品
課題
加工時のひと手間の作業によりでコーヒーの味が変化することを客観的に評価したい。
対応
「加工時にひと手間加えることで飲んだ時の味がおいしく変化するのだが、客観的に評価を行いたい」と相談がありました。そこで、味覚センサー(酸味・旨味・塩味・苦味・渋味)で同じコーヒー豆・抽出条件で、加工作業有無のみ変えた時の味の比較評価を行ったところ、酸味センサーの応答が作業をした方の試料で低くなっており、作業によって酸味が低減することを客観的に評価することができました。得られた成果を踏まえ、さらなるコーヒーの品質改善に繋げられています。

食品中の香気成分について

分野
食品
課題
製品中に含まれる香気成分について科学的に確認したい。
対応
製造している食品について、フローラルな香りが認められ、当該香気を呈する成分の有無を化学的に確認したいとの相談がありました。このため、食品中の香気成分を分析する目的でヘッドスペース法を用いたGC-MS分析を実施し、得られたクロマトグラムおよびマススペクトルをライブラリデータと照合することで成分の同定を行いました。その結果、特徴的な香気に寄与する揮発性成分の存在が確認され、官能評価の結果と一致する結果が得られました。

製陶用粘土の風合い改良について

分野
陶磁器デザイン
課題
これまで使用している陶芸用の粘土に、新しい土を混ぜ合わせることで、焼き上がりの色や風合いを変えたい。
対応

追加する土には粒子が大きな成分があったため、粉砕処理を行った。フレットミル、インペラーやボールミルなどの粉砕機から「フレットミル」を選び、粒子を細かく加工しました。次に、この土を元の粘土に5%刻みで配合した試験片を複数作成し、実際に焼き上げて比較検証を行った結果、相談者が目指す製品のイメージ(色や風合い)に合致する配合条件を選択することが出来ました。

大型陶製品の焼成を省力・短時間で行うための条件

分野
陶磁器デザイン
課題
大型陶製品の焼成を省力・短時間で行うための条件。
対応

大型陶製品は、肉厚な素地なため乾燥ムラから破損、変形のリスクがあり、さらに製品移動の負荷も大きいことから、通常行われる「素焼き→釉掛け→本焼き」の工程を省略して乾燥生土状態から直接本焼成を行う手法をアドバイスしました。4m³ガス窯内で急激な昇温による水蒸気爆発や変形を防ぐため、1日目150℃、2日目500℃での「あぶり」の工程を挟んで2.5日間にわけて本焼成を実施し、冷却時には冷め割れを防ぐため緩慢冷却を行いました。結果、1度の窯詰めで大型陶製品の本焼成を可能とし、割れや変形を抑えて安全に焼き上げることができました。これにより焼成完了までの合計時間を約1/3短縮しました。

 

釉薬表面の煮えについて

分野
セラミック材料
課題
釉薬表面の煮えについて。
対応

釉薬の表面が煮えたようになったとのこと。これまでも多少は出ることがあったが、焼成温度を少し上げたらたくさん出るようになった。特定の釉薬で発生しており、他の製品は問題ないため、釉薬で改善したい。マット釉だが質感を変えないようにしたいとのこと。ゼーゲル式を用いてSi/Al比を調整した調合例を数パターン示し、試験をおこなった。

陶器製平皿における縁部からの亀裂の発生原因について

分野
セラミック材料
課題
陶器製平皿における縁部からの亀裂の発生原因について。
対応
製品の亀裂の発生状況として、釉の亀裂部分における溶融状態が確認できないため、焼成冷却時、特に釉薬が固化する600℃以下での亀裂発生が考えられます。一般的には素地と釉薬の冷却時の熱膨張(収縮)率の差によって起き、釉の亀裂の場合は釉の方が膨張(収縮)率の大きいときに起きる貫入(かんにゅう)と、素地の膨張(収縮)率の大きいときに起きるシバリングに分けられ、素地のシリカ(SiO2)のクリストバライト結晶の転移による膨張収縮によるものです。本件では素地の亀裂が確認されたため、シバリングと考え素地の熱膨張測定を実施し、クリストバライト結晶の200℃前後で起きる膨張収縮が確認されました。対応策として素地のクリストバライト結晶の発生抑制のために耐火度の低い長石の添加を提案し、改善できました。