1. 重点事業
(1)AI活用の裾野を広げる技術開発と人材育成事業
1.事業目的
製造現場におけるAI活用の裾野を広げるための技術開発と人材育成により、県内中小企業の生産性の向上と製品の高品質化を支援しています。
2.事業内容・成果
AI活用の裾野をさらに広げることを目的に、大量生産以外の多様な現場環境に対応可能で中小企業にも導入が容易なAI検査技術の開発を進めるとともに、AI講習会および個別出前相談によるAI活用人材の育成を図ります。
(1)AI活用の裾野を広げるための現場対応型検査技術の開発
- 多様な現場環境においてもAI活用による画像検査および音響検査を実現可能とするための前処理技術およびAI検査技術の開発
- 多様な現場環境においても活用が容易で中小企業にも導入が容易なタブレット等身近なデバイスでAI検査が可能な「モバイルAI検査プラットフォーム」の開発
(2)AI人材育成のための講習会および個別出前相談、開発支援環境の提供
- AI検査の事例や実習を含めた講習会を実施し、 開発した技術の普及、AI人材の育成とAI導入を支援
- AI学習のためのクラウド型スーパーコンピューターを利用開放
成果
- AI講習会:147人
| 名 称 | 250社以上の導入実績から学ぶ!AI外観検査で実現する工数削減と品質向上(参加者:14名) |
|---|---|
| 日 程 | 令和7年7月30日(水) |
| 場 所 | 滋賀県工業技術総合センター |
| 講 師 | 油井 大悟氏【株式会社Phoxter Smart Vision Solutions事業部】 |
| 名 称 |
ロボットを活用した中小企業のものづくりの将来 ~多品種少量生産を実現する省力化装置としてのロボット~ (公益財団法人滋賀県産業支援プラザとの共催)(参加者:57名) |
|---|---|
| 日 程 |
令和7年8月4日(月) |
| 場 所 | コラボしが21 3階大会議室(大津市打出浜2-1) |
| 講 師 |
髙丸 正氏 【髙丸工業株式会社 代表取締役】 |
| 名 称 |
大学との連携が生むイノベーション (公益財団法人滋賀県産業支援プラザとの共催)(参加者:76名) |
|---|---|
| 日 程 |
令和8年3月6日(金) |
| 講演1 |
製造業における深層学習の実装と産学共同開発 藤田 和弘氏 【龍谷大学 先端理工学部 知能情報メディア課程 教授】 |
| 講演2 |
深層学習による鍛造部品外観検査における課題と取り組み 藤谷 憲治氏【髙橋金属株式会社 取締役 生産技術部長 兼 技術営業部長】 中川 真言氏【髙橋金属株式会社 生産技術部 技術開発課係長】 |
| 場 所 | コラボしが21 3階大会議室(大津市打出浜2-1) |
| 講 師 |
髙丸 正氏 【髙丸工業株式会社 代表取締役】 |
- 県内企業への個別出前相談:2件
(2)インバウンド向け近江の地酒開発支援事業
1.事業目的
本事業は、滋賀県を訪れる外国人観光客の約7割を占めるアジアからの観光客向けの日本酒の開発を行います。南部産業技術共創センターが主導して、アジアからの観光客の好みをとらえた旨味・コクのある「近江の地酒」を醸造所と協働で取り組みます。新商品開発、販路開拓を通じて醸造所、ひいては本県地域産業の活性化を図っていきます。
2.事業内容・成果
韓国、台湾、中国、香港で飲まれている日本酒を調査して、どのようなタイプ(酒質)の日本酒を開発するのか検討を行いました。アジアの人々は、旨味・コクのある日本酒を好む傾向にありました。しかしながら地域によって飲まれる日本酒は差異があり、醸造所が広範な酒質の日本酒の開発に対応できるように酵母の選抜等を行います。
現在、センターのストック酵母を利用して酒米を用いた発酵試験では、それぞれの酵母がどのような性質(味や香り)を示すのか小仕込み試験を実施しています。スケールアップしながらの試験を行って酵母選抜を進めます。
開発の流れ

目標
- 令和6年度 アジア向けの日本酒として「旨味・コク」が出せる酵母の取得数: 10種類以上の取得
- 令和7年度 実用的酵母取得数: 6種類以上選抜
- 令和8年度 実用的酵母取得数: 4種類以上選抜、醸造所での実地試験醸造:4件以上
成果
酒米を用いた小仕込と小規模醸造試験を通じて酵母選抜が完了しました。令和8年度の実地醸造試験は、開発を希望する醸造所への説明を行い、各醸造所の意向を踏まえ実施する予定です。
(3)製品ライフサイクルにおけるCO2削減技術の開発支援事業
1.事業目的
県内製造業による製品ライフサイクル全体を見据えたCO2排出量削減に向けた取組を促進するために、製造から使用、廃棄に至る全プロセスにおける省エネ化や電力平準化、脱CO2部材等に関する研究開発を実施します。
2.事業内容・成果
製品ライフサイクルの中でCO2削減効果が高く、先導的に取り組む研究開発として以下のテーマを実施しました。
①石油由来のプラスチックから天然由来のバイオプラスチックへの転換を進めるための技術開発(R4~R6)
バイオマスプラスチックと石油由来プラスチックの差異(強度、長期耐久性等)を調べてデータを蓄積し、これを情報提供・評価技術移転を行うことによってバイオマスプラスチックの速やかな普及につなげます。
(成果)
口頭およびポスター発表を行い、実施内容および結果について周知しました。
<グリーン・サステナブルテック>ショーケース
タイトル:バイオマスプラスチックの長期信頼性評価
開催日時:令和7年(2025年)7月11日(金)
開催場所:大阪産業創造館
参加人数:109名
②CO2排出量が少ない金属3Dプリンタによる部品製造に関する研究(R4~R6)
金属部品製造における金属3Dプリンタの活用は、金属粉末を積み上げて製品にするため従来の工法に比べて原材料のロスが生じません。特にバインダージェット方式は、一度に多くの精密部品を造形できることから、量産化によるCO2削減の効果が大きいです。そこで、センターと3Dプリンタメーカーが連携して、金属3Dプリンタによる製品の高精度化、量産化につながる技術開発を行い、県内企業とその技術を共有することにより、製造工程におけるCO₂排出削減に貢献します。
(成果)
講習会および見学会を実施しました。
「3D スキャナとDIC測定の基礎」
開催日時: 令和7年(2025年)12月8日(月)
開催場所:工業技術総合センター
参加人数:11名
「ニデックマシンツール テクニカルセンター見学会」
開催日時: 令和8年(2026年)3月9日(月)
開催場所:ニデックマシンツール株式会社 テクニカルセンター
参加人数:14名
③水素エネルギー利活用に向けた耐水素性が強いバルブ等部材の技術開発
水素インフラ向け部材の劣化に対する耐性強化、高コスト化対策、評価技術の向上等に資するために、センターが保有する成膜技術を基礎とした先導的な技術開発、および中小企業の参入を促す国際標準規格に対応した評価技術の蓄積と普及により、中小企業の水素エネルギー分野のサプライチェーンへの参入を後押しします。
令和7度は、炭素系薄膜による金属材料のバリア性向上を目指し、金属材料中の水素含有状態の評価と成膜方法の検討を行いました。令和6年度に整備した水素暴露環境を用いて暴露条件と水素含有量の関係を調査しました。また、CVD法による炭素系薄膜の作製に取り組みました。
(成果)
ポスター発表を行い、実施内容および結果について周知しました。
<グリーン・サステナブルテック>ショーケース
タイトル:カーボン薄膜による水素関連部材の高性能化
開催日時:令和7年(2025年)7月11日(金)
開催場所:大阪産業創造館
参加人数:109名
(4)信楽焼産地へのコトづくり支援事業
1.事業目的
信楽焼産地を中心とする事業者と多様な主体が連携交流する場を提供し、国内市場のみならず海外市場やインバウンド市場の開拓を目指す製品開発や情報発信等の取組を支援しています。特に3つの場(学ぶ場、実証する場、 発信する場)を提供し、ステップアップ、フィードバックを意識した活動を展開しています。
- 学ぶ場:信楽焼の魅力発掘・ブランディング・マーケティング・海外情報などについて、専門家を中心にセミナーや勉強会を開催。
- 実証する場:定番商品や復刻版の製品開発を行い、展示会や店舗販売演習を実施。(専門家の指導のもと試験場、都心などで開催)
- 発信する場:試験場1階ホール、各事業者のHP、個々のHP・SNS・ショールームなどを利用し魅力を発信。
2.事業内容・成果
今年度は以下のとおりセミナーを実施しました。展示については、事業者別の展示と同時に試験場と事業者が取り組んだ「小さな幸福を重ねる、くらし」をテーマにした信楽焼が身近にある1日のくらしを朝から夜までを時系列に展示しました。
セミナーの実施状況について
| 回 | 日時 | テーマ | 参加事業者数 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 5月27日 |
「新しい世界地図のなかの信楽 ー窯業・陶芸・美術の往還と「陶芸の森」ができるまでー」 |
14名 |
| 第2回 | 8月27日 |
「ブランディングとは」 「ブランディングと百貨店視点からのコトづくり」 |
19名 |
| 第3回 | 1月26日 |
「つくるだけでは、もう足りない ― 伝えるためのデザイン」 |
13名 |
| 第4回 | 3月5日 | 「モノづくり、コトづくりを企画するために重要なデータの活用」座学 株式会社マインズコンサルティング代表取締役 稲田 裕司 氏 |
5名 |
| 第5回 | 3月6日 | 「モノづくり、コトづくりに重要なデータ分析と生成AIの活用」 実践 株式会社マインズコンサルティング代表取締役 稲田 裕司 氏 |
7名 |
| 第6回 | 3月3日 |
「多忙な現代人の食生活 ~食事満足感を向上させる視覚的アプローチ」 |
9名 |
展示会の実施状況について
| 第1回 | 11月20日~11月23日 | 新宿リビングデザインセンターOZONE |
|---|---|---|
| 第2回 | 11月~ | 試験場展示スペース |
(5)未来世代へのモノづくり魅力発信のための陶製品開発 ~こどもたちと地域や環境のために~
1.事業目的
本研究では、信楽焼陶器の産地が持続的に発展するため環境や資源への対応と将来地場産業の後継者になるとともに消費者になる子供たちが幼少期から陶器に触れ、モノづくりの魅力を体感できる向けた陶製品開発を行います。
2.事業内容・成果
信楽焼の生産技術を活かし、子供向けの大型陶製遊具や屋外用玩具のデザイン・試作開発を行うとともに、蓄光釉薬を用いた加飾技術の検討を行い、リサイクル材料を活用した体験の迅速化を可能にする新たな陶土の調製・検証に取り組みます。
①大型陶製遊具の提案(R6~R8)
大物屋外遊具の製造効率化に向け、スタイロフォームを用いた軽量成形型による飛び台兼スツールの試作を検証した。従来の大型石膏型では、2人以上での作業が必要であったが1人での移動・脱型が可能となり、成形時間を従来の約半分に短縮して大小2点の試作品を作製しました。
②陶製玩具の提案および試作(R6~R8)
雨や紫外線に強い陶器の特長を活かし、3Dデータを基に入れ子式積み木やすごろく用コマ(アバター)を試作しました。また、凹面に蓄光釉薬を埋め込む加飾試験を行い、面積の広い絵柄よりも細線や点描による焼き付けが色むらなく良好であることを確認しました。
③陶芸体験の迅速化に向けた陶土の調製(R6~R8)
成形から焼成まで1日で完了する陶土の開発を目指し、エコセルベン等のリサイクル材料を配合した調合土の予備試験を行った。3パターンの配合比率で成形性や焼成条件を調べ、今後の型の作製や本格的な焼成試験に向けた基礎データを蓄積しました。
(成果)
- ①軽量成形型の導入により、大物遊具の成形時間を約半分に短縮し、1人での省力作業を可能にしました。
- ②3D技術を用いた玩具デザインを試作するとともに、蓄光釉薬による細線や点描加飾の有効性を確認しました。
- ③リサイクル材料を配合した3種類の迅速化調合土の予備試験を行い、成形性や焼成条件のデータを収集する準備をおこなった。
