佐々木宗生( ささきむねお

専門分野
機能性薄膜、表面処理、表面改質、表面分析
技術支援
・薄膜作製技術・評価技術について
・各種材料の表面分析・表面状態評価について
・電子顕微鏡による観察・分析について
・放射光による材料創製技術について
等々

研究

新規レアメタルフリー化合物太陽電池に関する研究

概要
 次世代太陽電池として期待されているレアメタルフリー化合物太陽電池の開発を行った。比較的安価な原料(Cu、Zn、Sn、S)と製造装置で生産が可能なめっき技術を用いた太陽電池の光吸収層形成技術を開発している。また建築材料や自動車部材に拡大および大型化することが可能な樹脂フィルム上への太陽電池のフィルム化技術についても開発を進めている。
実績
JST京都地域スーパークラスタ-プログラム滋賀サテライト「地産地消型スマートグリッドを実現する分散型で高効率なエネルギー開発と多様化された供給システムの構築」に採択され、県内企業および大学と共同で実施しました。

新規低温拡散表面処理による高耐久性アルミニウムダイカスト用金型の開発

概要
 自動車や家電の部品製造に欠かすことのできないアルミニウムダイカスト用金型は、熱衝撃割れ、溶損、焼き付き・付着等の課題があり、品質及びコスト面において改善が求められています。
 本研究開発では、これらの問題を解決すべく、浸炭窒化処理と溶融塩処理の融合による新規低温拡散表面処理法を開発し、川下製造業者のニーズに応える高耐久性のアルミニウムダイカスト用金型の表面処理を開発しました。
実績
平成23年度戦略的基盤技術高度化支援事業に採択されました。
アルミニウムダイカスト用金型に開発した表面処理を適用しました。その結果、実鋳造試験でタフトライト処理等の従来品と比較して、数倍以上の長寿命化を実現しました。

金型・治工具の耐高面圧化に資する拡散・表面被覆融合処理技術の開発

概要
機械装置あるいは自動車等の小型・軽量化のニーズに対応した、高い面圧に耐えることができる高張力鋼のプレス金型・ロールおよび刃物を含む治工具などへの応用を目指し、拡散・表面被覆融合処理技術の開発を行いました。
実績
平成20年度戦略的基盤技術高度化支援事業に採択されました。
プレスカッター刃に適用し、従来比で摩耗量約85%低減、5倍以上の耐摩耗性を実現しました。

放射光を用いた高感度・高空間分解能赤外顕微鏡の開発とナノデバイス・医薬・バイオ研究への応用

概要
シンクロトロン放射光から高輝度赤外光を取り込み、赤外分光装置と顕微システムを複合化させることにより、従来よりも1桁高い2~5μmの空間分解能(世界最高性能)を有する赤外顕微鏡を開発しました。
実績
平成18年度JST育成研究に採択され、県内大学および県内企業とともに実施しました。

薄膜技術の電子部材への応用化研究 ~有機EL用ハイガスバリア膜の開発~

概要
現在ガスバリア膜が最も利用されている食品関連分野では、SiOx やAl2O3 などの酸化物薄膜が利用されている。有機EL 素子では、食品関連分野で用いられているガスバリア膜の1/100 以下のバリア性が必要となる。最近の研究では、SiON や無機有機複合膜などのハイガスバリア膜が開発されている。本研究では、Si 系およびAl 系酸化物を高周波マグネトロンスパッタリング法により作製することにより、有機EL 用ハイガスバリア膜を開発することを検討した。基材フィルムにはPET(厚さ25μm)を用い、Si とAl をターゲットに用いて成膜を行った。
実績
積層・多層化することにより、無機系薄膜のみでフレキシブルなガスバリアフィルムを開発しました。
透湿度10-3g/m2・day以下のバリア性をもつガスバリアフィルムを開発しました。

薄膜による新素材開発に関する研究-薄膜技術を用いたものづくりモデル研究開発-

概要
高硬度・高強度材料のひとつである、β-C3N4 を作製するために、膜中の窒素と炭素の結合を制御する試みを行った。遷移金属を膜中に導入することにより、膜中のβ-C3N4 型の結合を増加させる。成膜後の処理として、熱処理と放射光照射処理を行った。熱処理は様々な薄膜材料の開発にも用いられているが、放射光照射は酸化物薄膜での効果と窒化炭素膜への効果から、有効な処理法として検討した。
実績
ものづくり試作開発支援センター事業の成果として、県内企業へ高度表面処理技術の技術指導を行いました。
本研究で得られた技術により、酸化物透明導電膜の作製に関するNEDO地域コンソーシアムに採用されました。

液晶ディスプレイの高性能化に関する研究

概要
平成11年度から地域における産業界と大学、試験研究機関の産学官連携プロジェク トとして、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)ベンチャー支援型地域コンソーシアム研究開発事業を行ってきました。この研究事例では滋賀県及 び近畿地域に集積している液晶ディスプレイ関連産業に着目し、液晶ディスプレイの発色に用いられるカラ-フィルタ-に関連する研究開発を行いました。透明導電膜を多層化することにより、低温で現在実用化されている透明電極と同等以上のカラーフィルター用透明電極を作製することに成功しました。
実績
液晶用透明導電膜の作製技術として、県内企業等へ技術指導を行いました。
・クロム遮光層を有するカラーフィルターガラス基板の再生方法(特開2001-091730)
・樹脂遮光層を有するカラーフィルターガラス基板の再生方法(特開2001-091731)
・カラーフィルターの製造方法(特開2002-350834)
・透明導電膜積層基板の製造方法(特開2002-343151)
・カラーフィルター用ガラスフィルター基板の再生方法(特開2002-267827)

放射光表面励起反応を用いた新素材創製の研究

概要
インジウム・スズ酸化物(ITO)薄膜への放射光(SR)照射効果について研究を行った。ホール測定の結果、ITO薄膜はSR照射により比抵抗が約100分の1となり、成膜時に基板温度を高温にした薄膜と同程度の電気特性を有することが可能となることがった。熱処理を行った試料との比較では、結晶構造の変化、電気特性の変化に違いがあることが分かった。特に、ホール移動度は熱処理と異なり、照射により減少することがなく、照射量に伴い、増加することが分かった。
実績
放射光照射による低抵抗ITO薄膜の低温作製技術を開発しました
・Effects of synchrotron radiation irradiation on tin-doped indium oxide thin film prepared by rf magnetron sputtering, REVIEW OF SCIENTIFIC INSTRUMENTS, Vol. 73, No. 3, 1384-1387 (2002)
・シンクロトロン放射光による新機能膜の創製とその応用, 工業材料 Vol. 49 No. 9 (2001) 97-101
・テクノネットワーク, Vol. 77, 2004年2月号, p6-7

ページトップへ▲